(2)地下構造及び物性値の3次元モデルの作成地下構造及び物性値の3次元モデルの作成

この調査結果の活用方策のひとつとして3次元モデルによる強震動予測を行い、大阪府における地域防災計画の修正に対する検討資料とすることが考えられる。とくに、3次元モデルの作成が重要となる理由は、地表面での地震動は基盤岩中と比較すると最大加速度振幅が10倍程度と大きくなること等、堆積層が地震動に大きな影響を与えるからである(参考;堀家正則、川辺秀憲「月刊地球/号外bR7,2002」)。そのためには、既存のモデルを収集、分析し、より信頼性の高い地下構造及び地盤の物性値(密度、P波速度、S波速度、減衰定数)の3次元モデルの作成を検討しなければならない。

3次元モデルの作成に際しては、既存モデルに対する検討を行い、当調査結果を反映させたモデルにするとともに、必要とされるデータを収集できる探査の計画や、他機関との連携を検討しなければならない。具体的には、検討を加える既存モデルとして、産業技術総合研究所が実施した「大阪平野の3次元地盤構造モデルの作成;堀川ほか(活断層・古地震研究報告第2号2002年P291−324)」が挙げられる。このモデルを検討対象とする理由は、他の宮腰ほか(1997,1999)モデル等の既存モデルに加えて、逆断層による急峻な形状を含めた基盤岩形状を表現していることや、深さや堆積年代に応じて速度や密度を変化させること等について検討が加えられているからである。また、@千里丘陵の佛念寺山断層の西側、A河内平野生駒断層、B堺市付近の孤立丘型の重力異常域における地質構造に関しては、再検討が必要と考えられており、これらの検討結果を踏まえて全体計画案を検討し、反射法地震探査測線等を計画することが効果的なモデル作成につながると考えられる。