5−2−1 枚方断層
生駒断層の北方延長部について、中川ほか(1994)による淀川河川敷における探査結果と、今回の枚方測線、高槻測線をあわせて3本の反射法探査結果を検討した。これらの探査結果より、いずれの探査断面においても枚方撓曲を形成した断層構造(枚方断層)が確認された。これにより、生駒断層は生駒山地の北西縁に沿って交野断層として分岐するとともに、枚方断層として北部へも延長していることが確認された。しかし、高槻測線以北における地質情報はこれまでに得られてなく、枚方断層のより北方への延長に関する詳細な構造は不明であるが、図5−11に示す重力探査結果によると、断層による基盤岩上面の落差は、図中の赤線で示すように、ほぼ淀川に沿って北東方向に延長する可能性があると推定される。また、これらの3測線に見られる枚方断層の基盤岩上面の落差は、約500mでありおおむね同じ値となっている。図5−11 枚方断層の北部への延長と推定基盤岩深度分布
なお、断層の上盤側にはMa12を挟む中位段丘層が地表に分布するが、下盤側には既存資料(関西地盤情報活用協議会による地盤データベース)をもとに淀川に沿って作成した図5−12の地質断面図に示すように、枚方測線西端部付近においてはMa12に相当する粘土層は明確に分布していない。しかし、図5−13のMa12上限面標高分布図に示されるように、当該地域ははMa12の分布北限地域でもあり、仮に、沖積層直下の標高−25m付近にMa12が分布すると仮定すると、Ma12をはさむ中位段丘相当層の分布標高+30mとの標高差は55mとなる可能性があると推定される。
図5−12 淀川沿いの地質断面図
図5−13 Ma12上限面標高分布図