(2)解析方法

解析は、まず、デジタイズしたグリッドファイルから調査範囲内のブーゲー異常図を作成し、デジタイズする前の原データである重力図「山形地域重力図(ブーゲー異常図)」を精度高く再現していることを確認した。ブーゲー異常図によると、西に行くに従ってブーゲー異常値が小さくなる傾向が認められる。これは、日本列島の下部に高密度岩体が沈み込んでいることを示し、太平洋プレートの沈み込みを反映していると考えられる。

プレートや、モホ面、コンラッド面などの深部の構造による広域的な影響は、長波長成分としてブーゲー異常値に表れる。本解析では、基盤の上面深度までを対象とするため、これらの長波長成分を取り除く必要がある。長波長成分を取り除く方法はいくつかあるが、ここでは長波長成分を二次傾向面で近似し、二次傾向面を差し引いた残差ブーゲー異常図を作成した。図3−1−2−2図3−1−2−3および図3−1−2−4にブーゲー異常図、二次傾向面図、二次傾向面残差ブーゲー異常(以下、「残差ブーゲー異常」という)図をそれぞれ示す。解析には、残差ブーゲー異常値を用いた。

図3−1−2−5は、ブーゲー異常値および残差ブーゲー異常値のスペクトル図を示している。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルの自然対数である。スペクトル図によると、残差データは25.4kmより長い波長がカットされている。一般的に重力異常の波長は、構造の深度の3〜5倍程度の長さとなって表れることから、二次傾向面を差し引くことにより、5.0〜8.5kmよりも深いところの影響が取り除かれているとみなすことができる。

1)断面解析

二次元断面解析では、重力断面解析測線A−A'と測線B−B'の2測線上のデータを、残差ブーゲー異常値の格子データから内挿して求めた。二次元解析に用いたプログラムは米国NGA社製の「GM−SYS」である。本プログラムでの重力値のフォワード計算はタルワニの方法(資料4参照)が、またインバージョンアルゴリズムは修正マルカート法が用いられている。解析に際しては、既存の地質図、地震探査データ、ボーリング柱状図、活断層位置等を参考にした。

2)三次元基盤構造解析

残差ブーゲー異常を説明するような最適な基盤深度分布をインバージョン法によって求めた。使用したインバージョンアルゴリズムは、駒澤(1980)の方法によった。この方法は、ある基準深度からの基盤の起伏量をイタレーション法によって求め、最終的に測定値と計算値が十分小さな誤差範囲内で一致した時点の基盤深度を最適解とするものである。データ処理及び解析の流れ図を図3−1−2−6に示す。