4−1−4 地震動の地域特性

・  2000/10/31(三重県中部)の地震では、山地と平野の境界より平野内に入ったところ(特に、津市から松阪市にかけて、香良洲町を中心とする地域)で地震動の振幅が増大しているのが確認できる。この成因は、地震(震源の放射条件、到来方向)にもよるが、盆地南端部で生成した表面波(盆地生成表面波)に関連して地震動が増大したものと推定され、いわゆる盆地端部効果が認められる。なお、河芸町の平野内に断層、撓曲が確認されたが、長周期帯域の地震動に影響を与えるほど規模は大きくないとみられ、局所的に地震動が集中している地域は見られない。鈴鹿東縁断層帯によって盆地周辺山塊と切られる伊勢平野の強震動予測では、特に盆地端部効果(周期2秒程度以下の地震動)は注意して評価すべき現象であると考えられる。

・  作成した地下構造モデルから計算される伊勢平野のピーク周期は、0.5秒〜7秒程度を示した。具体的には、MIEP05(桑名)、MIE003(四日市)、MIEP07(鈴鹿)で7秒台を示し、MIE006(津)で3.2秒、MIE009(松阪)では0.9秒、MIE010(伊勢)では0.5秒未満であった。この結果は、不明瞭であるが、観測記録から推定した増幅度のピーク周期と概ね対応している。