[P波反射法地震探査]
・ 都市部における反射法地震探査および屈折法地震探査の震源として、非爆薬震源であるバイブロサイスが有効であることが確かめられた。バイブロサイスの発振は、ある程度道幅の広い舗装道路に制限されるが、受振器の設置は、交通量の多い国道・県道を避けて可能な限り裏道または河川敷に設置することにより、S/N比の高いデータを取得することができた。
・ P波バイブロサイスを震源とする反射法の結果から、基盤までの反射波が得られており、基盤の最大深度は2000m強である。平成15年度の結果からは、鈴鹿山脈東縁断層に相当する基盤および堆積層の不連続を検出し、四日市断層に相当する浅部の反射面の撓曲構造を検出した。平成16年度Line−1の結果からは、白子−野間断層の延長に相当する基盤までの累積性を有する反射面の不連続を検出し、また、Line−2からは、四日市港撓曲に相当する撓曲構造を推定した。この撓曲構造の位置は、四日市市霞地区付近では、桑原・松永(1975)による従来の位置よりやや東側に推定される結果となった。これらの結果を図4−1−1に示す。
[S波反射法地震探査]
・ 四日市市下海老町で実施したS波ミニバイブを震源とする反射法では、深度1600mに達する基盤までのS波反射波が得られ、基盤上面までのS波速度構造が推定された。これは、測線を海蔵川の河川敷に設定することにより、車輌ノイズや生活ノイズが少なく、S/Nの良い記録を取得することができたためであると考えられる。このように、測線位置などの、データ取得仕様を工夫することによって、1500mを超える基盤までのS波に関する情報が得られることが示された。
・ P波・S波反射法およびPS検層などから、伊勢平野におけるS波速度が約400m/sec以上の堆積層中については、P波速度(Vp)とS波速度(Vs)の関係は、
Vs=0.5678×Vp−407.21
の線形関係式で近似できる(図3−1−6)。ただし、以下の条件が必要である。
○ Vsが400m/sec以上であること。
○ 推定されたVsは±100m/sec程度の推定誤差が含まれていること。
[P波屈折法地震探査]
・ バイブロサイス4台を用いた夜間発振を実施すれば、都市部においても屈折波は20km程度の到達距離が得られることが示され、屈折波の走時から基盤のP波速度を推定できることが示された。