(1)2000/10/31の地震(Mj5.7)による検証

この地震は三重県中部で発生し、震源の深さは約40kmである。この地震の最大震度は震度5弱であり、三重県紀伊長島町、愛知県碧南市で観測されている(震度5弱:愛知県西部・三重県南部、震度4:三重県北中部・愛知県東部・滋賀県南部・奈良県、など)。震源が深いため、広島から神奈川に至る広範囲で揺れを観測されている。気象庁による震源情報を、表3−4−7に示す。防災科学技術研究所の広帯域地震観測網による手動メカニズム決定結果を表3−4−8に示す。プレート境界面より上部の地殻内で発生した地震であり、発振機構から南北に圧縮軸を持つ逆断層タイプであると見られる。

 この地震は、防災科学技術研究所(K−net、KiK−net)、三重県の強震観測網により多数の観測点で波形記録が得られている。伊勢平野を縦断するように南北に沿って、データの品質が比較的良好な計12点の強震観測点を選んで、これらの観測波形を中心に検証を行った。図3−4−1に使用した強震動観測点位置を示す。

 モデルにより合成された波形・スペクトルの比較結果を、図3−4−21に示す。いずれも、観測結果が黒色、合成結果が青色で示されている。N−S、E−W、U−D成分を、フィルター後速度波形で比較しており、右端の数値(黒、青)は、観測および合成波形のピーク値(kine)を表す。図3−4−22−1図3−4−22−2図3−4−22−3は合成波形と観測波形との比較を、計算領域内の44観測点で行ったものである。図3−4−23−1図3−4−23−2図3−4−23−3はフーリエスペクトルの比較を示す。振幅スペクトルは、S波主要動からの60秒間で計算され、移動平均によるスペクトル平滑化を行っていない。図3−4−24には合成された水平動スナップショット、図3−4−25には、合成された各成分最大速度値分布を示す。