(1)VpとVsの関係

図3−2−24は、既存資料や今年度収集したPS検層データから得られたP波速度とS波速度の関係を示している。Vsが400m/secに満たない極浅部においては、P波速度とS波速度の間に有意な関係を見出すにはややばらつきが多い。

表3−2−1にはこれまでに各手法で得られたP波およびS波速度の推定範囲を各層ごとに示した(微動アレイについては東海層群と中新統の区分が明確にされていないため、基盤の上の層と思われる速度を東海層群と中新統ともに当てはめた)。第四紀層、東海層群相当層、中新統相当層については、S波速度の推定範囲に微動アレイ、反射法(PS関係式から)、PS検層の間であまり大きな差は見られない。一方、基盤の速度については、微動アレイによる結果が、PS検層による結果に比べて20〜30%速く推定されている。これは、微動アレイが水平方向のS波速度を推定しているため、速度異方性に起因している可能性が考えられるが、これまでの結果からだけでは明らかではない。また、例えば、微動アレイで高次モードが観測されており、それを基本モードとして解析した結果、微動アレイによるS波速度が見かけ上速く推定された可能性も考えられる。参考までに表3−2−2に岡崎平野、豊橋平野および三河平野における各層の物性値を示した。