調査測線が道路を横断する場合は、道路地下の水路等を通すか、信号柱などを利用してデータ転送ケーブルの道路横断を行った。なお、比較的交通量の少ない道路の横断にはゴム製のカバーでケーブルを覆い道路を横断した。
発振作業に当たっては、原則として3台稼働、20スタック/点を基準(標準スイープ数)としたが、発振点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜
・スイープ数
・出力レベル
・バイブレータ車の台数
の調整等を行った。現地状況が良好である場合はスタック回数およびバイブレータ発振出力を上げデータ品質の向上に努めた。なお、高分解能反射法では、標準スイープ数は2回程度とした。四日市市霞地区コンビナートの人工島では、コンビナート内の工場施設への影響を回避するため、ミニバイブ(図2−1−2−3)による発振を行い、振動レベル計を用いて振動レベルが1ガルを超えないよう適宜出力を調整した。
現地調査の作業状況については、付録1の現場写真集を参照されたい。
図2−1−4−1、図2−1−4−2、図2−1−4−3、図2−1−4−4、図2−1−4−5、図2−1−4−6、図2−1−4−7、図2−1−4−8、図2−1−4−9、図2−1−4−10、図2−1−4−11および図2−1−5−1、図2−1−5−2、図2−1−5−3、図2−1−5−4、図2−1−5−5、図2−1−5−6にそれぞれLine−1およびLine−2におけるP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発振点に対して、地表の複数受振点(Line−1では標準360受振点、Line−2では標準404受振点)で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。本調査において、受振測線は可能な限り交通量の少ない道路や川沿いに設置し、交通量の多い国道・県道などの主要道路をできる限り避けた。一方、発振は人家などを避けるため国道・県道上で行わざるを得ない場合もある。このような場合には、受振点と発振点位置が異なることになり、受振点の近傍で発振した場合と区別するために発振点番号に1000を足して発振点番号とした。これらの記録から以下のことが言える。
Line−1
交通などのノイズを避けるため、受振器をできるだけ交通量の多い国道を避けて設置したことにより、記録の質は良く、予想される基盤深度は比較的深い(1500m〜2000m)ものの、3台フルパワーで発振したほとんどの発振記録から先新第三系の基盤上面と思われる反射面が得られている(図2−1−4−1、図2−1−4−2、図2−1−4−3、図2−1−4−4、図2−1−4−5、図2−1−4−6、図2−1−4−7、図2−1−4−8、図2−1−4−9、図2−1−4−10、図2−1−4−11)。これらの記録では、基盤の上に堆積する堆積層中の反射面も明瞭に得られている。
Line−2
高分解能の反射記録(図2−1−5−1、図2−1−5−2、図2−1−5−3、図2−1−5−4、図2−1−5−5、図2−1−5−6)では、3台で発振した場合、往復走時1.5秒付近までの反射面が得られているが、明瞭な反射面の食い違いなどは確認できない。
反射法データ取得作業の結果、次の成果物が得られた。
(1)現場磁気テープ(IBM3490Eカートリッジテープ、 SEGYフォーマット) 2巻
(2)同上データシート(Observers Report) 1式
(3)現場モニター記録 1式
(4)発振点・受振点座標/標高値 1式