0 はじめに

本報告書は、三重県が文部科学省の平成16年度地震関係基礎調査交付金を受けて実施した「伊勢平野に関する地下構造調査」の結果をまとめたものです。

本県は、南海トラフを震源として約100〜150年間隔で繰り返し発生するプレート境界型地震や、活断層を震源とする内陸直下型地震により、過去において大きな被害を受けてきました。

本県に大きな影響を及ぼすと考えられる東南海地震は、前回昭和19年(1944年)に発生してから今日まで約60年が経過しており、今世紀前半の発生が危惧されているところです。また、政府の地震調査委員会から出された「南海トラフの地震の長期評価」によれば、「東南海地震の今後30年以内の発生確率は、60%程度に達すると推定される。」とされており、本県は、今後一定期間内に、強震動の影響を受ける可能性が非常に高い地域であると考えられます。

平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、神戸市街地を中心とする東西の細長い範囲に「震災の帯」と呼ばれる強震動に見舞われた地域が生じ、甚大な人的・物的被害をもたらしました。このような地域が生じた原因の一つとして、基盤岩と呼ばれる地下の岩盤の形状やその上の堆積層の性質などを含む地下の構造が強く関連していることが考えられ、より精度の高い強震動予測のためには、地下深部の構造などに関する情報を把握しておくことが重要であると認識されました。

本県の伊勢湾沿岸部に広がる伊勢平野は、基盤岩の上に新しい地層が厚く堆積した堆積平野であると同時に、日々多くの県民の方々が生活する場であり、多くの産業が発達している地域でもあります。

このため、本県では、伊勢平野の地表から基盤までの三次元的な地下構造を明らかにすることを目的として、平成14年度から伊勢平野の地下構造調査を開始しました。

平成16年度は、伊勢平野中部において大深度物理探査を実施し、同地域のより詳細な地下構造について把握するとともに、地震発生時の強震動予測を精度よく行うための基礎資料とするため、これまでの調査成果を総合して、伊勢平野の地表から地震基盤までの三次元的地下構造モデルを作成しました。

本調査結果を今後、地域の長期的な地震防災対策の基礎資料として活用していただければ幸いと存じます。

最後に、本調査を実施するにあたり、ご指導、ご助言を賜りました伊勢平野地下構造調査委員会委員各位並びに関係各位に深く感謝申し上げます。

平成17年3月

                       三重県防災危機管理局