図3−2−22−1には、伊勢平野内における反射法記録、微動アレイ解析結果から推定された基盤深度および基盤到達井における基盤深度と残差重力との関係を示した。この図からは、養老断層近傍部分および鈴鹿東縁断層帯近傍部分のデータは省いた。
この図から、ブーゲー異常と基盤深度はほぼ線形関係にあると考えられる。図中には、反射法探査および微動アレイ探査結果から得られたデータを用いて推定した基盤深度と残差重力の関係
基盤深度(m)=−46.5*残差異常(mgal)+643.89 (3.2.3)
を示した。図中において、本年度実施した反射法探査による結果だけを見ると、上記の近似式からややずれているように見えるが、これは、基盤深度の差が鈴鹿東縁断層帯を除けば最大500m程度であり、伊勢平野内の広域に配置された微動アレイ間の基盤深度の差に比べると測線内での基盤深度の変化量が小さいためであると考えられる。以上のように、(3.2.3)式に示した近似式は微動アレイ探査データによる寄与が大きく、また、本調査のの反射法探査による結果は上記の関係式にのっており、三重県(2003)において作成した基盤深度図と本調査の反射法探査による結果は概ね一致していることから、本調査の結果を用いて新たに基盤深度図を作成する作業は行っていない。伊勢平野では、基盤までを対象とした反射法探査による成果は非常に少ないため、今後も調査を積み重ねて、伊勢平野内での基盤深度を明らかにし、重力と基盤深度の関係を蓄積していく必要がある。参考として、図3−2−23−2に、濃尾平野における基盤深度と残差重力の関係を併せて示した。濃尾平野全体のデータを用いた場合でも、今回得られた関係式と同じような関係式が得られた。