基盤岩はその岩質によって以下に示す3種類に分類した。表中にはその分類を示した。表3−2−4−2
図3−2−18での坑井位置は上記の表に示した基盤岩の種類に応じて分けて表示した。図3−2−19には図3−2−18に示した各坑井のPS検層の結果のうち、特定されている年代から先新第三系の基盤内と思われる部分のVpとVsの関係を示した。ただし、基盤上部は風化の影響で速度が遅く測定されている可能性があるので、各PS検層の結果のうちP波速度の比較的安定している部分を示した。図3−2−19も図3−2−18と同様に基盤の岩質ごとに表示を統一している。図3−2−19中のP波速度とS波速度の関係は、P波速度が増えればS波速度が増えるというような大きな傾向は読み取れるが、このデータからP波速度とS波速度の関係式を導くのは困難である。伊勢平野周辺の基盤岩は、中・古生代の美濃帯変成岩類、領家花崗岩・変成岩および三波川変成岩類に大別されている。伊勢平野北部(鈴鹿山脈南部)から中央構造線までは領家花崗岩類が分布していると予想され、本調査で実施した反射法測線の西端では領家花崗岩類が露出している。そこで、図3−2−19に示した基盤速度のうち、花崗岩類(図3−2−19中の緑の▲)内の速度に着目すると、P波速度(Vp)とS波速度(Vs)の間には線形性が認められ、
Vs(m/sec)=Vp(m/sec)×0.6743−852.53 (3.2.1)
の関係を見出すことが出来る。屈折法地震探査の結果から基盤のP波速度は5500m/secと推定されているので、(3.2.1)式を用いてS波速度を計算すると2850m/secとなる。この値は、伊勢平野内の花崗岩内で得られているS波速度に比べるとやや速い値であるが、P波速度も速いこと、また、花崗岩が得られている観測井は、本調査の測線から40km〜60km程度離れていることなどを考慮し、基盤のS波速度を2.9km/sec程度とした。この値は、昨年度行った微動アレイ探査による解析結果(3.6km/sec前後)に比べると、2割程度遅い。