3−2−3 S波反射法地震探査

図3−2−12にはS波反射法測線におけるS波速度解析例およびS波時間断面図を、図3−2−13にはS波反射法測線におけるP波速度解析例およびP波時間断面図を示した。図3−2−14には、S波反射法測線で得られたS波およびP波速度構造を示した。また、図3−2−15にはS波反射法測線におけるS波時間断面図とP波時間断面図(時間軸を3倍に伸ばした)の比較を、図3−2−16にはS波反射法測線におけるS波深度断面図とP波深度断面図の比較を示した。

P波、S波ともに深度約1600mの基盤までの反射面が捉えられ、S波深度記録とP波深度記録との反射波の対応は比較的良い(図3−2−16)。S波の基盤付近の速度解析の精度はやや落ちるものの、P波記録との反射面との比較(図3−2−12および図3−2−13)により、速度を絞り込むことが可能である。S波速度は0.4〜1.5km/sec、P波速度は1.5〜3.5km/secを示している(図3−2−14)。

S波反射法速度解析の結果を、同測線上でのP波速度解析結果とともに示す。ここには、前述の層区分と層序も示した。 表3−2−3−1

図3−2−17には図3−2−14に示したS波速度とP波速度に加えてこれまでに得られている微動アレイ探査の結果のうちS波反射法測線に比較的近いNo.4(北西約7km),No.5(北東約3km)およびNo.6(南東約6km)ならびに防災科学技術研究所の四日市観測井(MIEH01:南西約12.5km)のPS検層の結果を示した(P波速度およびS波速度)。S波反射法測線と微動アレイの位置が3km以上離れており、微動アレイ探査による解析ではD層とE層を1つの層とみなしているなど微動アレイと反射法の層区分が必ずしも一致していないため、直接的な対比は困難であるが、両者のS波速度値は浅部では比較的良く一致しているものの、深部(C層、D層)で微動アレイによる推定速度が反射法の結果に比べ若干早く推定されているようにも見られる。これは、微動アレイが、水平方向のS波速度を推定しているのに対し、反射法は垂直方向の速度を推定しているため、速度の異方性に起因している可能性も考えられるが、本調査の結果からだけでは明らかではない。この原因について検討を進めるには、オフセットVSPあるいは屈折法等による水平方向のS波速度の測定が今後必要であると考えられる。