調査測線が道路を横断する場合は、道路地下の水路等を通すか、ケーブルをゴム製のカバーで覆って道路面を横断した。
発振作業に当たっては、発振点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜
・スイープ数
・出力レベル
・バイブレータ車の台数
の調整等を行った。
原則として3台稼働、20回スタック/点を基準(標準スイープ数)としたが、各発振点の状況に応じ臨機応変に対処した。バイブレータ発振出力についても状況に応じ、最大出力の40〜90%に変えて発振を行った。また、現地状況の許す限りスタック回数およびバイブレータ発振出力を上げ記録の質の向上に努めた。なお、高分解能反射法では、標準スイープ数は2回程度とした。
現地調査の作業状況については、付録1の現場写真集を参照されたい。
図2−1−4−1、図2−1−4−2、図2−1−4−3、図2−1−4−4、図2−1−4−5、図2−1−4−6、図2−1−4−7、図2−1−4−8、図2−1−4−9、図2−1−4−10、図2−1−4−11、図2−1−4−12にP波反射法の現場記録例を示した。各図は、1発振点に対して、地表の受振点で観測した記録であり、横軸は受振点の番号、縦軸は時間となっている。参考のために各図の上部に測線図も同時に添付した。図中のVPは発振点番号を、Locは受振点番号を、offsetは発振点と受振点間の距離を示す。本調査において、受振測線は交通量の少ない川沿いおよび交通量の多い国道・県道などの主要道路から離して設置した。一方、発振は人家などを避け国道・県道上で行う場合もある。このような場合には、受振点と発振点位置が異なることになり、受振点の近傍で発振した場合と区別するために発振点番号に1000を足して発振点番号とした。これらの記録から以下のことが言える。
交通などのノイズを避けるため、受振器をできるだけ河川(海蔵川および竹谷川)沿いに設置したことにより、記録の質は良く、予想される基盤深度は比較的深い(2000m前後)ものの、3台フルパワーで発振したほとんどの発振記録から先新第三系の基盤上面と思われる反射面が得られている(図2−1−4−1、図2−1−4−2、図2−1−4−3、図2−1−4−4、図2−1−4−5、図2−1−4−6、図2−1−4−7)。これらの記録では、基盤の上に堆積する堆積層中の反射面も明瞭に得られている。鈴鹿東縁断層(受振点740付近)より西側の発振では、断層より西側に反射面はほとんど得られていない図2−1−4−8。高分解能の反射記録(図2−1−4−9、図2−1−4−10、図2−1−4−11、図2−1−4−12では、浅部の反射面は得られており、1台の発振で基盤までの反射波が得れている場合もある(図2−1−4−9)。
反射法データ取得作業の結果、次の成果物が得られた。
(1)現場磁気テープ(IBM3490Eカートリッジテープ, SEGYフォーマット) 6巻
(2)同上データシート(Observers Report) 1式
(3)現場モニター記録 1式
(4)発振点・受振点座標/標高値 1式