文献No.17では、重力から基盤深度を推定し、図3−1−3(前掲の図1−6−2を再掲)を作成している。
図によれば、四日市市付近を中心として、基盤標高が−2,000m以下となることが推定されており、平野の西側で鈴鹿東縁・布引山地東縁断層帯、南側で白子−野間断層に至って急激に浅くなっている様子がうかがえる。また、津市付近で深度‐400m前後であることが想定される。なお、松阪市では逆に標高500mを超えており、地震基盤が地表を飛び出すような構造になっている。この解析では、基盤と堆積層の単純な2層構造を仮定して基盤深度を求めているため、絶対値としては実態と矛盾した構造として解析されている部分も見受けられるが、大局的な基盤形状が把握できる。
地震基盤の標高が−2,000m程度と想定される地域は、鈴鹿東縁断層帯、伊勢湾断層、白子−野間断層にほぼ囲まれた範囲で四日市市の大半、菰野町の南東側、鈴鹿市の北東約半分の地域となる。
図3−1−3 重力探査による基盤標高推定図
「文献No.17:応用地質技術年報No.20.P17より抜粋」
また、西南日本重力研究グループが公開した「重力データベースのデジタルデータ(CD−ROM)」(文献No.16)は、本調査で作成した地下構造モデルについて、重力による基盤構造と概略の比較検証を行うための入力重力値として使用した。図3−1−4にこの資料および地質調査所発行の”日本重力CD−ROM“に添付されているブーゲー重力異常図の内、伊勢平野周辺を抜粋して示し、巻末に縮尺20万分の1のブーゲー異常図を示した。
図3−1−4 既存重力探査データによるブーゲー異常図(仮定密度2.5g/cc)