堀川−巨椋池測線（平成１０年度実施）：起伏のある基盤岩の深度分布を把握することができ，測線南部の巨椋池干拓地付近を最深部（約８００ｍ）として，北部にかけて緩やかに浅くなる構造が明瞭となった。また，宇治川の直下においては，基盤岩の上面に約２００ｍの落差をもつ宇治川断層が発見され，その活動は地表面直下の地層も変形させていると推察される。
久世橋測線（平成１１年度実施）：基盤岩の深度分布とともに，京都盆地の東西縁を限る樫原断層や桃山断層などに関する地質情報を得ることができ，いずれの断層も逆断層構造を形成することが明らかとなった。しかし，断層付近における堆積層の構造が不明瞭であるため，断層の活動性に関する詳細な情報は明確でない。
丸太町測線（平成１２年度実施）：測線東端部において，花折断層の南方延長部と推定される複数の逆断層が見られる。測線中央部付近にも基盤岩上面に落差が認められるが，表層付近の堆積層には変形が見られないことより，この断層は活動的ではないと考えられる。
五条測線（平成１２・１３年度実施）：測線東部の鴨川付近に，桃山断層系に相当すると考えられる基盤岩の落差が認められた。測線西端には樫原断層が存在すると予想されたが，この断層に対応する構造は認められず，測線のさらに西側に位置すると推定される。
山科測線（平成１３年度実施）：測線西端において，花山−勧修寺断層に相当すると考えられる逆断層が確認された。また基盤岩中にＶ字状の反射構造が見られるが，Ｐ波速度は大阪層群と丹波層群の中間的な値を示す。
外環状測線（平成１３年度実施）：測線東端部では西に傾斜する構造が顕著で，これは桃山断層に関係した構造であると推定された。また，測線西端には樫原断層が延長すると予想されたが明瞭な断層構造は認められないことより，樫原断層はこの付近まで延長していない可能性が高い。
久御山−八幡測線（平成１３年度実施）：基盤岩および堆積層ともほとんど変形を受けた構造が見られない。これより，京都府八幡市男山の南側をほぼ東西に横断すると推定される有馬−高槻断層帯は，この測線までは延びていないことが明らかとなった。