3−3−1 P波速度(Vp),S波速度(Vs)

@地表から深度694.5mまでが段丘層や大阪層群に属する堆積層に相当し,VpおよびVsとも下部ほど速くなる傾向をとる。粘土ではVp=1700〜2100m/sec,Vs=300〜800m/sec,砂および砂礫ではVp=1700〜2600m/sec,Vs=300〜1200m/secとなる。また,砂や砂礫は値がばらつき,粗粒な方がより速い値をとる傾向が見られ,粒度組成の変化に対応した速度の変化が認められる。深度670mに分布する福田火山灰より下位についてはVp=1800〜2700m/sec,Vs=500〜1500m/secを示し,粘性土で速度は遅く下方に向かって値の上昇率が大きい。

A深度694.5m以深は,大部分が丹波層群の黒色頁岩からなる基盤岩であり,Vp=4000〜5300m/sec,Vs=1800〜2800m/secとなる。深度718〜733m付近はチャートで構成され,Vp=3500〜5000m/sec,Vs=1700〜2500m/secを示し,頁岩より若干遅い値をとる傾向が認められる。この速度の違いは,岩種よりも亀裂などの発達状態を反映していると考えられ,本孔で確認されたチャートは亀裂が発達して角礫状コア部分が多く,一部粘土化部もはさむ。全体的に棒状コア部でVpおよびVsとも速く,角礫状,粘土状コア部では遅い傾向が見られる。堆積層直下から深度710m付近までは緩やかに速度は速くなり,Vp=3000〜4100m/sec,Vs=1500〜2300m/secとなる。