ガンマ線は物質と衝突した際には,一般的に次の3つのパターンで減衰する。
@光電効果
金属原子の表面に周波数の高い波動が照射されると,表面近くの電子が励起されて飛び出す現象をいう。
ガンマ線は可視光よりも周波数の高い電磁波であるため,比較的エネルギーの低いガンマ線でも光電効果による減衰は発生する。
Aコンプトン効果
ガンマ線のエネルギーが高くなると光粒子説により,ガンマ線はその振動数に比例するエネルギーをもつ粒子として振る舞うと考えてもよい。この様な時,ガンマ線粒子は物質中の電子に衝突し,電子をはね飛ばす。このとき,エネルギー保存則と運動量保存則によってガンマ線のエネルギーは減衰する。
コンプトン効果によるガンマ線の減衰は光電効果による減衰よりも大きい。
B電子対生成
電子は負の電荷を持つ粒子であるが,ごくまれに電子とまったく同じ正の電荷と質量を持つ陽電子が存在する場合がある。電子と陽電子が衝突した場合,ガンマ線が発生することが観察されている。これとは逆に,非常にエネルギーの高いガンマ線が陽電子と電子に分離する電子対生成が発生することも確認されている。この時減衰するガンマ線のエネルギーは,ΔE=mc2(mは生成された電子の質量,cは光速)と非常に大きなものである。
これらの反応は,ガンマ線が原子内の電子または原子核と衝突することによって起きる反応である。ガンマ線量の減衰が大きいということは,衝突回数が多い,つまり電子や原子核の量が多いということであり,言い換えると地盤の密度が大きいということを示す。
検出器で測定されるガンマ線量をNとすると,地盤の密度γは以下の式で表される。
Γ = A + Blog(N)
ここでA,Bは計測系に固有の係数であり,各計測系のA,Bは事前のキャリブレーションテストによって精密に決定されている。実際の測定では,検出器との間に空間や水が存在するためにAとBには若干の補正を行っている。
図3−4に,密度検層に使用したゾンデの外形図と密度検層の概念図を示す。放射線源としては137Cs(セシウム137)を用い,ゾンデに内蔵された3個の検出器により精度の高い測定が行われる。また,密度検層ではキャリパー検層と呼ばれるボーリング孔径を測定するための検層が同時に行われる。これは,検出された放射線量を密度値に換算する際,放射線源および検出器と孔壁との間の距離が必要になるためであり,この測定により精度の高いデータを得ることができる。
図3−4 密度・キャリパー検層プローブの外形図と密度検層の概念図