(1)火山灰分析

火山灰は,一般に広域に分布してほぼ同時に堆積するため,降灰年代が判明している火山灰との対比を行うことにより,地質時代における時間面をほぼ特定することができる。ボーリングコアの肉眼観察で検出された火山灰層を,以下の手順で詳細分析を行うことにより,5枚の広域火山灰の対比がなされた。

@前処理

・試料を採取秤量し,50℃で15時間乾燥する。

・乾燥重量を測定し,ビーカー中で水を換えながら,懸濁がなくなるまで超音波洗浄を行う。

・乾燥後,ふるい分けをする(60,120,250mesh)。

・120〜250メッシュ(1/8〜1/16mm)粒径試料で,封入剤を用いて薄片を作成する。

A全鉱物・重鉱物組成

前処理により作成した薄片を顕微鏡で観察し,火山ガラス,軽鉱物,重鉱物,岩片などについて無作為に総数200個まで計数し,含有粒子数の量比百分率で示した。さらに重鉱物については,カンラン石,斜方輝石,単斜輝石,褐色・緑色角閃石,不透明鉱物,カミングトン閃石,ジルコン,黒雲母,アパタイトなどを顕微鏡下で識別して無作為に総数200個を計数し,その量比を百分率で示した。なお,試料により重鉱物含有量が少ないものは200個計数できなかった。

B火山ガラス形態分類

前処理で作成した薄片に含まれる火山ガラスの形態を,吉川(1976)に準じて識別・分類した。なお,形態別の含有率を求めるために200個の粒子を測定した。

C火山ガラス・鉱物の屈折率測定

前処理により調整された120〜250メッシュ(1/8〜1/16mm)粒径試料を対象に,温度変化型屈折率測定装置(RIMSおよびMAIOT)を用い,屈折率を測定した。1試料あたり30個の火山ガラスおよび鉱物それぞれを測定するが,含有量の少ない試料ではそれ以下になる場合もある。

温度変化型屈折率測定法は,火山ガラスと浸液の屈折率が合致した温度を測定することにより,各浸液ごとに決められた浸液温度と屈折率の換算式から火山ガラスの屈折率を計算して求める方法である。

表2−2 火山灰詳細分析試料一覧

さらに,より詳細な地質層序を組み立てるために,連続試料による洗い出し概略分析を行った。概略分析を実施したのは,深度9〜50mと170〜200mの大阪層群における全細粒土である。数10cm間隔で連続試料を採取し,前処理を終えたすべての試料について約10,000粒子の組成を把握し,火山性物質が検出された試料については火山ガラスや重鉱物の屈折率測定を実施した。