(1)表層補正

一般的には屈折法により表層を ”はぎ取る”方法が用いられるが,特にミラージ的な速度変化を示すような速度構造地盤では,必ずしも精度の高い補正値を得られるとは限らない。そこで,次に述べる「屈折波を用いたトモグラフィー」により表層の速度分布を求め,これにより静補正値を算出し,表層に起因する乱れを補正した。図2−15−1図2−15−2図2−15−3図2−15−4に各測線の表層速度解析結果を示す。

屈折波を用いたトモグラフィーの解析手順は,次の通りである。

@ 観測波形よりP波の初動走時を読みとる。

A 差分格子点に適当な初期速度分布値を与える。

B アイコナール法により,ある発震点で起震した場合の各格子点の初動走時を計算する。

C 初動走時分布をもとに波線を求める。

D 各波線の観測走時と計算走時の比を修正係数とし,波線周辺の格子点に記憶する。

E B〜Dを全発震点について行う。

F 格子に配られた修正係数をもとに波線を求める。

G B〜Fを収束するまで繰り返す。