堆積層内部におけるP波速度の検討に有効であった。特にボーリングおよび反射法探査結果の層序追跡によって推定された堆積年代と速度解析結果を組み合わせることにより,堆積年代を基準としたP波速度の推定に役立った。
・屈折法探査
基盤岩内部におけるP波速度の検討に有効であった。物理検層により基盤岩内部についてもP波速度とS波速度・密度の関係式が有効であったため,基盤岩内部におけるS波速度および密度も推定できた。
・S波反射法探査
広域的な物性値の資料として得ることは困難であることから,地下構造調査の手法としては不向きと思われる。但し,局所的なS波速度分布の推定が可能であるためS波速度の検証としては有効な手法であると思われる。
・物理検層
堆積層内におけるP波速度とS波速度および密度の関係式を構築するために非常に有効であった。また,基盤岩内部についても各物性値の間に堆積層と同様な関係式が成り立つことが解ったため,基盤岩内部の各物性の決定にも有効であった。
・VSP探査
ボーリング孔周辺におけるP波速度およびS波速度分布を知ることに役立つが,物性値の検討を行うには精度の上で難があると思われる。本来は反射法探査結果の精度を向上させるための調査であるため,反射法探査により基盤深度あるいは堆積状況が比較的精度良く求まっている場合には特に必要ないと思われる。
・微動アレイ探査
結果の分解能はやや粗いものの,比較的精度良くS波速度構造を表していると思われる。今回のモデル作成では物性値の推定の基準としてP波を用いており,またPS検層によりP波とS波の関係式が構築されたため,堆積層および基盤岩内におけるS波速度のチェックを行った。
以上の点をまとめた結果を表9−2に示す。