9−4−1 計算プログラム動作確認

検討に先立ち,以下の項目に関して使用した計算プログラムの動作確認を実施した。

@無反射境界の効果:有限差分法は解析領域を限定した領域解法であるため,人工的な境界となるモデル端部からの反射波を除去する必要がある。単純な形状のモデルを用いて波動場の計算を実施した。結果を図9−11に示す。

A到達走時:別法としてホイヘンスの理論に基づく理論走時計算プログラムを用意し,この結果との相互比較により走時計算の妥当性を検証した。結果を図9−12に示す。

B非一様格子の動作:演算の効率化のために,弾性波速度が速ため波長が長い岩盤部では格子間隔を広く,また弾性波速度の遅い堆積層部分では格子間隔を狭くして計算の効率化を図った。一様格子による計算結果との相互比較により動作確認を行った。

C減衰の効果:より現実的なシミュレーションを可能とするため,弾性定数以外に減衰定数も物性として与えるものとした。減衰の有無による計算波形の比較を図9−13に示す。

D震源の表現:震源は応力成分を用いたモーメントテンソルで与えた。スタッガードグリッドでは,各応力成分に対応する格子点が異なるため意図した震源条件が満足されることを確認した。図9−14に想定した震源による地表での押し引き分布の結果を示す。

E振幅分布:2次元境界法[Yokoi(1996)]による半円形の盆地構造に対する計算結果と円筒形の盆地構造モデルによる3次元有限差分法による計算結果を比較して図9−15に示す。

以上より,シミュレーションプログラムの妥当性が検証されたものと考えられる。