図9−9にKD−1孔およびKD−2孔ボーリングの検層結果と,Gassmann式を用いてP波速度からS波速度と密度を推定した結果を示す。KD−1孔における大阪層群は比較的細粒分の多い堆積物からなり,静穏な水域での堆積層であったことが推定できるのに対して,KD−2孔の大阪層群は礫質土が多く扇状地性の堆積物と推定され,両者の物性値は同一年代の堆積層でも大きく異なる。このように堆積状況の極端に異なる場合でも,P波速度から推定したS波速度および密度はそれぞれ測定値とよく一致する。以上より,京都盆地の堆積層でも大阪平野で用いられたパラメーターを使って,Gassmann式を適用したP波速度からのS波速度および密度の推定が可能であると判断した。
また図9−9の結果では基盤岩についてもP波速度から推定したS波速度および密度はそれぞれ測定値とよく一致することから,堆積層と同様にGassmann式を用いてP波速度から各物性値の推定を行っても問題がないことがわかった。