@ 表層地質データ
公表されている表層地質図あるいは活断層調査結果などを収集し,基盤岩類・大阪層群・段丘相当層・海成粘土層などの地表における分布,および断層推定位置などを整理し,後の作業で使用できるように3次元座標値を付加してファイルに編集した。
なお,地質図などに表現されている地質情報に関しては,必ずしもすべての地層において明確に年代区分されているとは限らない。そこで未区分層は地質形成史を踏まえて形成年代を仮定して与えた。
A ボーリング調査
基盤岩深度,および海成粘土などの堆積年代が明らかな地層について,既存の調査ボーリング,水井戸,温泉ボーリング,地下構造調査のKD−1・KD−2などを整理し,座標値を付加してファイルに編集した。
なお,京都盆地のボーリングで堆積年代が明らかにされているデータは,本調査のKD−1孔における大阪層群中の海成粘土層Ma3,Ma4,Ma5,Ma6,Ma9の5枚,およびKD−2孔におけるMa5,Ma6,Ma9の3枚のみである。
B 反射法地震探査
京都盆地における反射法地震探査記録は,地下構造調査で実施された4測線の他に,平成8年度以降の活断層調査で実施された5測線,および旧地質調査所による2測線などがある。反射法地震探査は,基盤岩上面の深度および形状,堆積層の分布状況,あるいはこれらを変形させた断層の位置と形状など,地下の詳細な地質情報が得られる探査法のため,地質構造モデルを作成する上で最も重要である。
前述のボーリング孔KD−1,KD−2は,地下構造調査の反射法探査測線と近接して掘削されたため,両者を対比することにより反射断面上で海成粘土層を追跡することが出来た。図9−2に,この作業で得られた地質断面図を示す。これは京都盆地地下深部の大阪層群の堆積年代に関する,現在のところ唯一の情報である。
これら反射法地震探査の結果も,モデル作成の過程で随時参照できるように3次元の座標を付加しファイル化した。
C 重力探査
京都盆地の重力観測記録は,京都大学など諸機関によって測定された既存データに本調査における500点の測定データを加えると約2300点となり,データの密度には地域差があるが,疎の地域でも600m間隔程度で盆地の全域をカバーしている。
この重力観測値より,京都盆地全域の基盤岩深度の推定を行った。重力による基盤岩深度推定は,精度は必ずしも期待できないが,広域に得られる地下深部情報のため,反射法探査測線の無い地域の地下構造を推定する上では非常に役立つものとなった。
重力から基盤岩深度を推定する方法は色々あるが,本調査では基盤岩深度が既知の地点について,重力のブーゲー異常値と基盤岩深度との関係を統計的に整理し,基盤岩深度をブーゲー異常値から求める回帰式を作成して,広域の基盤岩深度分布を求めた。
ここで,既知の基盤岩深度データとしては,反射法地震探査,屈折法探査,ボーリングなどの結果を用いた。ただし,これらは京都盆地の中部および北部に集中しており,盆地南部では既知の基盤岩深度データが不足して回帰式を作成することが難しい。そこで盆地南部の基盤岩深度推定では,基盤岩露頭部と堆積層との境界線も補助的に用いたが,この地域では推定精度がやや悪くなっているものと思われる。