@ 強震動予測のための3次元地盤モデルの作成
A 地震動シミュレーションと観測地震波の比較による3次元地盤モデルの検討
B 地下構造調査における各種探査手法の比較評価
ここで3次元地盤モデルの呼称は,3次元地質構造モデルと3次元物性値モデルを併せた総称として使用している。3次元地盤モデルの作成手順のフローを,図9−1に示す。
図に示すように,本調査では最初に断層構造,基盤岩深度,および主要な堆積面などの情報を持つ3次元地質構造モデルを作成し,ついでこのデータを基に地震動シミュレーションに用いるための3次元物性値モデル,すなわちP波速度,S波速度,密度,減衰定数(Q値)の4つの物性値の3次元分布モデルを作成した。
このように,3次元地質構造モデルを介して間接的に3次元物性値モデルを作成する手順は本調査の特徴であるが,この手順を選んだ理由は以下のとおりである。
@ 深部地下に関する物性値の情報は限られており,その情報だけで確定的な3次元物性値モデルを作成することは難しい。また不明な部分の物性値の補間方法は,数学的な手段以外には適当なものが無い。
A これに対して広域の3次元地質構造を推定する作業は,既存の地質情報が多くまた地質構造の形成史の考え方もほぼ整理されているため,不明な部分の推定が物性値に比べると明らかに容易である。
B 地質情報も京都盆地全域にわたって充分に得られているわけではなく,作成した3次元地質構造モデルには数多くの仮定・推定が加えられている。しかしこれら推定部分を,新しい地質構造に関する知見が得られた場合に修正する作業は,地質構造モデルの方が物性値モデルよりも容易である。
C 物性値モデルは,地質構造モデルより得られるつぎの3つの条件で推定することにした。この方法で推定した物性値分布は,物性値の観測値と良く整合した。
イ. 堆積環境
ロ. 堆積後の年数
ハ. 上載圧
モデルの作成範囲は,京都盆地全域を含む南北:35km,東西:20kmとし,基盤岩最深部が800m程度であることを考慮して深度方向は1.5kmとした。また,南西角の座標は第Y座標系でX=−135,000m,Y=−33,000mである。