8−2−1 P波による反射法および屈折法地震探査結果
地下構造調査では図8−1に示されるように,京都盆地内の4測線(測線長計:43km)で探査が実施された。これにより盆地の地下に分布する基盤岩(丹波層群)の深度分布や,盆地の地盤を構成するおもな地層の大阪層群などの堆積構造が明らかとなった。また,堆積層のP波速度値は測線あるいは測点位置によりやや異なるが,およそ1800〜2300m/sec程度に推定された。さらに反射法探査と併せて実施された屈折法探査では,反射法探査では得られない基盤岩のP波速度の分布についても推定され,基盤岩上面で3500m/sec程度の値を示し,深くなるにつれて速くなる傾向を示しているとともに,断層の存在が予想される位置では周辺の速度に比べてやや低い値を示す結果となった。それぞれの探査結果は図8−2および図8−3に示すとおりである。なお,平成10・11年度に実施された探査で明らかとなったおもな地質情報をまとめると以下のとおりである。
堀川−巨椋池測線(平成10年度実施):基盤岩の分布を明瞭に把握することができ,測線南部の巨椋池干拓地付近を最深部(約800m)として,北部にかけて緩やかに浅くなる構造が明瞭となった。また,宇治川の直下においては,基盤岩の上面に約200mの落差をもつ(仮称)宇治川断層が発見され,その断層運動は地表面直下の地層も変形させていることが推定された。
久世橋測線(平成11年度実施):基盤岩の深度分布とともに,京都盆地の東西縁を限る樫原断層や桃山断層などに関する地質情報を得ることができ,いずれの断層も逆断層構造を形成することが明らかとなった。しかし,断層付近における堆積層の構造が不明瞭であったため,断層の活動性に関する詳細な情報は明確でない。