6−5 探査結果

微動アレイ探査の結果,求められたS波速度構造について,把握された主な特徴を以下に示す。

@ 15箇所における速度層の数は,盆地南部の一部を除くほとんどの箇所で5層で解析され,各層のS波速度範囲は,以下のとおりであった。

第1層 Vs= 0.19〜0.72km/sec (最上層:表層)

第2層 Vs= 0.35〜0.82km/sec ↓

第3層 Vs= 0.45〜1.20km/sec 下位層へ

第4層 Vs= 1.15〜1.62km/sec

第5層 Vs= 2.90〜3.10km/sec

A 本調査地のS波速度は検層結果などから,堆積層でVs=0.7〜0.8km/sec程度以下,基盤岩である丹波層群でVs=1〜3km/sec程度の値が得られていることから,基盤岩の上面はほぼ第3層目と第4層目との境界に相当すると推定され,また,Vs=約3km以上を示す最下層が地震学上の基盤であると考えられる。

B 基盤岩深度については,盆地北西部のA−2地点(嵯峨小学校)で約80m,中西部のA−9地点 (新林小学校)で約90mと推定され,盆地北部から中部の西縁付近で最も浅く,中央南部のA−15地点(旧巨椋池干拓地)で最も深く800m程度と推定される。

C また,各測定地点における地震学上の基盤の深度は,基盤岩深度の傾向にほぼ相似する。

D 反射法地震探査結果と対比できる地点で求められた基盤深度は,ほぼ整合性のあるものとなっている。

E A−11地点(京都市消防学校)で得られた基盤速度値(Vs=2.6km/sec)が,他地点(Vs=2.9〜3.1km)に比べ低い値となった。この要因として,基盤の起伏の影響を受けて基盤情報を含む低周波数域の位相速度が低めに求められた可能性が考えられ,他地点と同様に3km/sec程度の速度値になるものと推定される。