@地下構造モデルの想定
平成10〜11年度の調査結果および既存資料をもとに,15箇所の調査地点において想定される速度構造モデルを作成し,モデルに対する理論位相速度を求めた(表6−2、図6−4,図6−5)。
15地点の想定した速度構造モデルは,つぎの3グループに大きく分けられる。
Aグループ:A−1,A−2,A−3;想定される基盤深度≦200m
Bグループ:A−5,A−6,A−7,A−8,A−9,A−10,A−11,A−12,A−13;
350m≦想定される基盤深度≦200m
Cグループ:A−14,A−15 ;想定される基盤深度≧700m
A 感度解析及び逆解析に必要な位相速度周波数範囲
上記で大別したA〜Cグループのモデルにおいて,
Aグループ:A−1(グループ内で想定される基盤が深い)
A−2(グループ内で想定される基盤が浅い)
Bグループ:A−6(グループ内で想定される基盤が深い)
A−9(グループ内で想定される基盤が浅い)
Cグループ:A−15
を選出し,感度解析を行ない,逆解析に必要な位相速度周波数範囲を求めた。
各モデルの感度解析結果を図6−6、図6−7、図6−8、図6−9、図6−10に示す。また,感度解析によって求められた逆解析に必要な位相速度周波数範囲を表6−3に示した。
表6−3 感度解析により求められた逆解析に必要とする位相速度の周波数範囲
B 京都盆地の基盤の特徴を考慮するアレイ設計方針
平成10・11年度の反射法地震探査等の既存資料より,京都盆地の基盤は深度方向に対して起伏が大きいことと盆地の縁では基盤が急激に浅くなり,横方向に対して基盤深度が大きく変化するという特徴がある。一方,微動アレイ探査では次のような性格を有している。
・微動アレイ探査手法は地下構造を水平多層構造と仮定して解析する。
・基盤およびその以下の情報を得るために,大きいサイズのアレイが必要である。
・アレイサイズを大きくすると,アレイがカバーする範囲内の基盤起伏が大きくなり,微動アレイ探査の基本仮定と矛盾して,結果の信頼性が落ちる可能性がある。
したがって,この両者を考慮して,以下のようにアレイを計画した。
・基盤が平らな地域において可能な限り大サイズ,且つ高密度なアレイにより基盤までのS波速度構造を高精度で把握する。(大アレイ)
・基盤が起伏している地域において,ある程度アレイサイズを小さくし,基盤以上の層のS波速度構造を把握する。(小アレイ)
・地表付近の浅層構造を把握するために,外接円半径約50mの小アレイが必要である。このようなアレイができる場所は(小・中学校の校庭など)限られている。そのために,アレイの中心をなるべく小・中学校の校庭にする。
C アレイ設計
既存情報から基盤が比較的平坦と想定されるA−6,A−7,A−10及びA−15地点について4展開,その以外の地点について2展開のアレイを設計した。ただし,A−14地点については想定される基盤の平坦さを考慮して3展開のアレイとした。各地点のアレイサイズおよびカバーできる周波数範囲を表6−4および図6−11に示す。