(2)分析結果

全試料の検鏡結果は,表4−3にまとめるとおりである。表に示すように,火山性物質に起因すると考えられる火山ガラスや重鉱物は極めてまれであり,下記の2試料について詳細分析を実施したのみである。

T7−01:深度136.10〜136.20m

T7−32:深度139.20〜139.30m

各試料の詳細分析結果は,図4−4−1図4−4−2図4−4−3図4−4−4

に示すとおりである。

分析結果より推定される試料の地質層準について以下にまとめる。

@T7−01試料[深度:136.10〜136.20m]

検鏡においては,火山ガラスの含有は認められなかったが,角閃石(GHb)および斜方輝石(Opx)の自形結晶が明瞭であり,大阪層群中のテフラにおいては大山系テフラである可能性が大きい。重鉱物の屈折率の測定結果は以下のとおりである。

Opxγ = 1.699 − 1.707(1.704)

Hbn2 = 1.679 − 1.685

Cumn2= 1.668 − 1.670

これらの特徴をもとに,大阪層群中テフラの分析結果との比較検討を行うと,この試料が海成粘土層[Ma8]の直下に知られている「カスリ火山灰」の降灰層準に近い可能性があると示唆される。また,この結果は後述する花粉分析結果や,南区鉾立公園で実施したボーリング地点[KD−1]における地質層序と反射断面[堀川−巨椋池測線]における地層の連続性から推定される地質層準とも矛盾しない。

AT7−32試料[深度:139.20〜139.30m]

バブルウォール型ガラスが検鏡によって4個検出され,微量のガラス質テフラの混入が推定される。火山ガラスの屈折率の測定結果は,以下のとおりである。

N=1.4960 − 1.5016(1.499)

地質層準的に,これまでに未報告のテフラの可能性があり,従来より知られているテフラに対比されるものはないと判断される。上記のT7−01試料が「カスリ火山灰」であるとすれば,Ma8とMa7の中間層準に相当すると考えられる。