4−2−2 大阪層群

基盤岩の上位には未固結の粘土と砂礫の互層が堆積する。これらは大阪層群と呼ばれる地層であり,新第三紀鮮新世後期から第四紀更新世中期にかけて形成された堆積物である。大阪層群はおもに淡水域に堆積した陸成層よりなるが,海域に堆積したMa1,Ma2,Ma3などと呼ばれる約12枚の海成粘土層や数10枚の火山灰をはさむことが知られている。これらの海成粘土層や火山灰を対比することは,京都盆地における地層の分布や盆地の形成過程を推定する上で重要な情報となる。

本孔における大阪層群の層相は,部分的に粘土層を挟在する以外は,淘汰の悪い扇状地性堆積物と推定される粘土混じり砂礫が80%以上を占め,径60mmを超える大礫が多く含まれる。粒径のそろった砂層はほとんど認められない。また,粘土混じり砂礫層は深度99.7m付近より浅層部では茶灰色を示すが,それ以深では青灰色を呈する。

コア観察では火山灰層は検出できなかったが,深度80m以深における全細粒土層の連続試料をもとに洗い出し処理を行った火山灰分析により,深度136.10〜136.20mにおいて1枚の広域火山灰に起因すると推定される降灰物が見られる。詳細は火山灰分析の項に後述する。

粘土の色調には暗灰色と緑灰色の2種類が見られ,暗灰色を呈する粘土は海域に堆積した海成粘土といわれており,ボーリングコアでは以下に示す3層が識別された。

深度 87.30 〜  88.60m : 1.30m厚

深度155.80 〜 160.07m : 4.27m厚

深度182.21 〜 190.37m : 8.16m厚

とくに,中位と下位の2枚の粘土層には大型のカキ化石が含有されており,海域の堆積環境で形成した粘土層であることが明らかである。一方,深度136.21〜142.23mに見られる緑灰色の粘土層には,藍鉄鉱が点在し,淡水環境によって形成された粘土層であることがわかる。

砂 礫 層[深度:168〜171m](写真4−2−4)

海成粘土層(Ma6)[深度:156〜159m](写真4−2−5)