(4)求められたS波速度構造

各CASEの解析結果図をまとめて図7−25に示し、各モデルの理論位相速度を図7−26に示す。比較のために、アレイ中心点付近におけるPS検層によるS波速度構造および他の既存資料も図中に表示した。この結果から次のようなことがまとめられる。

@ 調査地点におけるS波速度構造は主に4層構造で表現できる。各CASEの解析結果は共に100m付近、200m付近および400m付近において速度の変化が見られる。

A 各モデル共に深度400m付近において速度の急増加が見られ、それより以深は地震基盤と考えられる。しかし、前述のように、深部構造を反映する低周波数領域の位相速度の精度が低いので、この境界面の精度も低いと考えられる。

B 求められた深度225m以浅の速度構造はアレイ中心点におけるPS検層の結果と一致している。225m〜340m間のS波速度は、求められた結果は4つのCASE共にPS検層の結果より低くなっているが、他の既存資料との整合性がある。

C 図7−20で分かるようにSPAC法で求められた位相速度はPS検層による地盤モデルの理論位相速度とほぼ一致しており、概ね調査地点の地盤特性を反映していると考えられる。