@ 遺伝的アルゴリズム
遺伝的アルゴリズム(GA)は巨大かつローカルミニマムが多数存在する探索空間から効率的に適応度の高い解を求める方法として広く用いられている。この手法の最大の特徴は厳密な初期モデルが必要でないことである。最小自乗法のような逆解析手法は厳密な初期モデルが必要であるが、GAの場合、ある程度に解の存在範囲が把握できれば、プログラムにより自動的にその範囲内の最適解を探索することができる。欠点としては、最適解を得るためには、十分な探索を必要とし、計算の量も膨大になることである。
GAによるS波速度構造解析の手順は、
(1)地下構造の層数(何層モデル)、各層のS波速度および層厚の存在範囲を定義する(解析条件の設定)、(2)この範囲内において、プログラムによりランダムにモデルを作成し、
(3)これらのモデルをもとに、GA操作(選択、交差、変異等)により次世代モデルを生成し、
(4)モデルの理論位相速度と観測位相速度の差が十分に小さくなるまでGA操作を繰り返し、進化させて行く。
地盤のS波速度構造モデルは数値により厳密に表現できるので、文字列コーディングの代わりに、実数値GA(R−GA)を用いた。そして、位相速度の感度概念もアルゴリズムに組み入れている。これらの措置により、モデル探索の効率が上げられ、より多くのモデルの探索が出来る。
A 解析の流れ
速度構造解析の流れを図7−20に示す。