図6−6は読み取り初動から推定したP波およびS波の速度分布とDSIによる速度値を示したものである。
図6−7−1、図6−7−2はP波、S波観測波形に上昇波抽出、NMO補正・タイムシフト処理等を行った処理過程での波形を示しており、図6−7−3は処理後の波形を示している。
図6−8は平成10年度に実施されたP波反射法探査で得られた時間断面とP波VSP探査結果を比較したもの、図6−9は平成11年度S反射法探査で得られた時間断面とS波VSP探査結果を比較したものである。この図において、VSP記録はP波については11msecの、S波については98msecの静補正を与えて反射法探査の時間記録と時間軸を合わせている。時間の早い(すなわち浅い)部分については、ボーリング孔の23m以浅にケーシングが挿入されていてこの区間の測定ができなかったため、VSP探査の原理上、データが少なく精度がよくないものと考えられる。しかしながら、P波については100msec以深、S波については400msec以深の結果は、反射法探査結果とよく一致しており、初動読み取りおよびNMO補正処理は適切であると考えられる。
初動速度をもとに、P波およびS波のVSP探査結果を深度変換したものとボーリング柱状図を対比したものを図6−10に示す。130m以深での反射面が比較的よく一致しており、また、これらの反射面がボーリング結果と対応していることがわかる。
以上のように反射法探査の時間断面とVSP探査の時間記録との対比、VSP探査とボーリング結果との対比がとれたことから、VSP探査結果をもとに反射法探査の深度断面を見直した。その結果、反射法探査の深度断面では、P波・S波とも基盤上面の190m〜210mの速度をやや速く処理しており、基盤内の速度をやや遅く処理していることが判明した。
そのため反射法探査の速度解析結果を再検討した。再検討後のP波およびS波反射法探査の深度断面を図6−11に示す。