6−3 検層結果

図6−4に各検層結果とボーリング結果を対比させたものを、総合検層柱状図として示す。この図より、各測定値の特徴ないしは傾向を以下に列記する。

<P波速度(Vp)、S波速度(Vs)>

・地表より深度約37mの沖積層ないし段丘堆積層において、深度約10mを境にして、Vp、Vsとも急変する。すなわち以浅ではVp≒500m/sec、Vs≒100m/secを示すのに対し、以深ではVp=1600〜1800m/sec、Vs=300〜500m/secとなる。特にVpのこのような変化は、ボーリング掘進中の水位が低い時で深度約10m付近を推移していたことから、地盤の含水状態の変化を反映しているものと推定される。

・G.L.−37〜−223mの大阪層群においては、粘性土優勢な部分でVp=1500〜1700m/sec、Vs=300〜500m/sec、砂質土ないしは砂礫優勢な部分でVp=1700〜2000m/sec、Vs=400〜700m/secを示し、速度の変化の様相はP波、S波で相似している。しかし、層全体としての速度変化は比較的少ない。

・G.L.−223m以深の基盤岩層においては、Vp=3000〜5500m/sec、Vs=800〜3000m/secを示し、速度のばらつきが大きいが、平均的にはVp=4000〜4500m/sec、Vs=1500〜2000m/sec程度の値になっている。また棒状コア主体の部分で速度が高く、粘土状コア主体の部分で低くなる傾向が見られる。

<密度(γ)>

・地表より深度約37mの沖積層ないし段丘堆積層においては、γ=1.5〜2.2g/cm3 を示し、深度とともに漸増する傾向が見られる。

・G.L.−37〜−223mの大阪層群においては、粘性土優勢な部分でγ=1.6〜2.0g/cm3 、砂質土ないしは砂礫優勢な部分でγ=1.9〜2.2g/cm3 を示しており,後者がやや高くなる傾向が見られる。

・G.L.−223m以深の基盤岩層においては、密度は比較的一定で、γ=2.4 〜2.6g/cm3 を示す。

<比抵抗(ρ)>

・地表より深度約37mの沖積層ないし段丘堆積層においては、ρ=50〜100ohm−mを示す。

・大阪層群内の深度約120m以浅の部分においては、層相の変化が激しく、比抵抗値の変動が大きいが、粘性土優勢な部分で低く、砂質土ないしは砂礫優勢な部分で高くなる傾向が見られる。すなわち前者でρ=5〜10ohm−m、後者でρ=20〜50ohm−mを示している。

・大阪層群内の深度約120m以深の部分においては、層相の変化に対応して比抵抗値にかなり明瞭な変化が見られる。すなわち、海成粘土層(Ma6,Ma5,Ma4,Ma3相当層)においてはρ=2〜5ohm−mを示すのに対し、砂礫主体の部分ではρ=20〜100ohm−mを示している。

・G.L.−223m以深の基盤岩層においては、局所的変動が大きい部分もあるが、おおむねρ=20〜50ohm−m程度の値を示しており、岩種や岩質の違いによる変化も見られない。