前述の火山灰分析より、3枚の火山灰が誓願寺―栂火山灰(GL−132.74〜−133.20m)、八丁池T火山灰(GL−140.73〜−140.90m)、アズキ火山灰(GL−207.36〜−207.88m)のそれぞれに対比される可能性の大きいことが判明した。
一方、微化石分析の結果、アズキ火山灰層をはさむGL−206.50〜−213.51mの粘土層より海水棲の珪藻が産出したことから、この粘土層は海域の堆積環境にあったと推定される。また、有孔虫やウニなどの海棲化石は検出されなかったが、海域の堆積を示唆する黄鉄鉱の産出より、汽水域〜海域の堆積環境にあったと推定される粘土層はGL−172.56〜−177.70m、GL−141.35〜−154.00m、GL−123.33〜−128.80mの3枚である。
既存資料より大阪層群の地質層序は表5−7に示されるように細分されており、その地質情報をもとに、検出された火山灰と推定される海成粘土との関係より、基準ボーリング地点では以下の海成粘土層準が推定される。
深度123.33〜128.80m : Ma6層準
深度141.35〜150.00m : Ma5層準
深度174.00〜177.70m : Ma4層準
深度207.88〜213.51m : Ma3層準
以上より、基準ボーリング地点における地質層序は図5−4の総合柱状図にまとめるとおりである。
なお、GL−63.05〜−68.70mの粘土層は、海棲の珪藻種や貝殻片などが含まれることより、この粘土は海成粘土であると判断されるが、その地質層準を特定できる情報は得られていない。また、大阪層群の上位にあると推定される段丘堆積層およびに沖積層は、前述したようにそれぞれの境界が明確でないが、肉眼観察による層相の特徴より、深度37m付近と7m付近がそれぞれの基底と推定される。