(1)火山灰分析

火山灰分析を行った試料は全部で6試料である。各試料の分析結果は以下のとおりであり、詳細は、表5−3および図5−3に示す。

表5−3 火山灰分析結果一覧表

図5−3 火山灰分析結果

T−1:G.L.−75.35m

厚さ約5mmの火山灰で、褐色ガラス質の岩片が多い。重鉱物は角閃石が多く、黒雲母を伴う。少量含まれる火山ガラスの形態は軽石型、不規則型が多く、小規模火砕流に伴う火山灰の可能性がある。しかしながら対比決定要素を欠くため、火山灰名を特定することは困難である。

T−2:G.L.−132.93〜−133.21m

ガラス質の火山灰で、火山ガラスの形態は軽石型が主でバブル・ウオール型を伴い、特徴的に黒曜石片を多く含む。以上、重鉱物組成や火山ガラスの屈折率値の結果ともあわせて、誓願寺―栂火山灰であると同定できる。

T−3:G.L.−140.73〜−140.90m

高い屈折率値(平均値:1.5146)を特徴に持つ、軽石型ガラス質火山灰。有色(褐色)火山ガラスを含む。八丁池T火山灰と推定できる。

T−4:G.L.−154.65〜−154.72m

細粒火山灰で風化が進んでいるためか、火山ガラスは全く検出されない。また、重鉱物(斜方輝石、角閃石)の屈折率測定を試みたが対比決定要素を欠くため、火山灰名を決めることはできない。

T−5:G.L.−207.36〜−207.88m

主に火山ガラスと斜長石からなり、重鉱物としては斜方・単斜輝石と不透明鉱物からなり、まれに角閃石を含む。火山ガラスは珪長質からスコリア質まで多種類におよび、珪長質は軽石型が主でバブル・ウオール型を伴い、スコリア質は不規則型が多い。

以上のような特徴から、アズキ火山灰であると同定できる。

T−6:G.L.−218.30〜−218.48m

火山ガラスは全く検出されず、重鉱物は角閃石が主で不透明鉱物・黒雲母・カミングトン閃石を含む。対比決定要素を欠くため、火山灰名を決めることはできない。