バイブレーターの外観を図5−10に示す。起震を行う場合には、まず車体中央のプレートを地面に下し、これに車重の大部分をかけて地面に圧着する。車体とプレートの間にはエア・ダンパーを挟み、鉛直な上載圧はプレートに加わるが、起震時の振動は車体には伝わらない機構となっている。起震時にはプレート上のアクチュエーターでカウンターマスを上下に揺り、その反力によりプレートを介して地面を振動させる。
発生する波はパルスではないが、後述するように相互相関演算を行うことによってダイナマイトのようなパルス震源と等価な記録を得ることができる。
図5−10 大型バイブレーター外形図
<バイブロサイスの原理>
バイブレーターを震源とした探査は通常バイブロサイスと呼ばれており、その原理をまとめると図5−11に示すようである。
a. バイブレーターで低い周波数から高い周波数まで徐々に周波数が遷移する波形で起震する(@)。発生波の振幅は速度振幅が一定となるように再帰的に制御する。
b. 反射波は図のB〜Dに示すように、ダイナマイトなどのパルス震源とは異なり、震源波形の初動時刻・振幅・位相をずらした波形となる。従って観測波形はAに示 すように、これらを重ね合わせた複雑な波形となる。
c. 観測終了後、震源波形(@)と観測波形(A)の相互相関関数を計算する。この結果はEに示すように、ダイナマイトなどのパルス震源と等価な記録となる。
<バイブロサイスの特徴>
a. 起震エネルギーが大きい。
b. 低い出力のエネルギーを継続して出力する震源機構のため、環境への影響が少ない。
c. 起震周波数範囲を選択できるため、所望の周波数帯域の観測が可能である。
d. 可搬性に優れており、作業効率が高い。ただし、やや車両サイズが大きい(L=8. 16m W=2.45m)ため、進入できる道路が限られる。
図5−11 バイブロサイスの原理
【震源:油圧インパクター(JMI−200)】
油圧インパクターの外観図5−12にしめす。この震源は、地面に圧着したベースプレートを、ガス圧で加速したピストンで打撃する、一種の重錐落下震源を車載したもので(株)地球科学総合研究所が開発した。起震力は、最大で100kgの重錐を高さ6mから落下させた場合に相当する。
発生する波はパルスであるが、比較的高い周波数までの広帯域の波を発生できる。このため、浅層の解析が可能である。また、舗装道路上でも使用可能であり、自走できるので移動が容易である。
図5−12 油圧インパクター外形図
【収録装置:テレメトリー探鉱器(G−DAPS4)】
地震計からのアナログ入力データをA/D変換し、磁気テープに出力する装置で ある。
この装置の特徴としては
1.テレメトリー探鉱機であること。
2.ΔΣ方式の24ビットA/D変換を行えるためダイナミックレンジが広い。
3.相互相関演算および加算演算が、各アンプボックス側で行える。
などをあげることができる。
・チャンネル数 :最大2032ch/ライン
最大512ライン
・収録データ長 :最大16000サンプル
・サンプリング間隔:0.5ms、1.0ms、2.0ms、4.0msの4段階
・データ書式 :SEG−Yフォーマット
・ビット数 :24ビット
・ゲインコントロール:0〜24dbまで12dbステップ
【地震計:速度型地震計(SM−7)】
・固有周波数 :10Hz
・グルーピング :9個/グループ(3シリーズ/3パラレル)
【その他の機材】
・ADVANCEU
・無線機