@ 一般的なP波速度とS波速度の関係式を利用する(Ludwig et al.,1970 等)
A 調査地域のボーリング孔の検層で得られているP波速度とS波速度の関係を利用する
のような方法が一般的に利用されているが、神奈川県では微動アレイ探査が数多く実施されているので、微動アレイ探査により推定されたS波速度構造との関係を利用した。
しかしながら、微動アレイ探査で得られる位相速度分散曲線から逆解析でS波速度を求める場合、解析時の制約条件や仮定の与え方などにより異なるモデルが得られる場合がある(逆解析の一意性の問題)。事実、今回の調査で検討している山中・山田(2002)による平塚観測点と、本年度実施の伊勢原(ISEHARA)観測点は近く、得られた位相速度分散曲線も類似しているが、逆解析の結果得られたS波速度構造モデルはやや異なっている。
ところで、微動アレイ探査により得られる位相速度分散曲線そのものは観測値とみなしてよく、観測が適正に行われていれば客観的なデータとして扱える。一方、地下構造モデルに対して表面波(レイリー波)の分散曲線を理論的に計算することができるので、理論と観測分散曲線の比較を行うことによって、地下構造モデルの検証を行うことができる。
そこで、ここでは、本調査で実施した微動アレイ探査で得られた分散曲線を利用して、その可能性について検討を行った。