(1)H/V特性の比較

1)利用した地震

H/V特性の比較に用いた地震は、 神奈川県内の観測点のうちのほとんどで観測記録が収録され、表面波の卓越する1998年5月3日に発生した伊豆大島東方沖地震(M5.7)とした。図3-3-2-1に地震の震央位置と記録の観測されたK-NET観測点を示す(防災科学技術研究所HPより引用)。図3-3-2-2-1図3-3-2-2-2図3-3-2-2-3図3-3-2-2-4図3-3-2-2-5図3-3-2-2-6図3-3-2-2-7図3-3-2-2-8図3-3-2-2-9図3-3-2-2-10図3-3-2-2-11に観測記録およびフーリエ振幅スペクトル例を示す。観測波形は、地震発生時刻を基準として、その時刻からの経過時間で示している。また、フーリエ振幅スペクトルは、約40秒(4096s)のデータ長を用いて計算したもので、タイムウィンドウを5s刻みでずらして計算した6区間の例を示している。

2)H/Vの計算方法

観測記録については、波形やフーリエ振幅スペクトル等を考慮し、地震発生時刻の40秒後から約40秒(4096ポイント)の区間を表面波が卓越している部分とみなし、各成分のフーリエ振幅スペクトルを計算した。H/Vは、水平動の各成分と上下動成分の比をそれぞれ求め、比較に使用した。

理論的なH/Vは、各観測点の1次元地下構造モデルを抜き出し、レイリー波基本モードの水平動と上下動の振幅比を計算した。

3)比較結果

図3-3-2-3に各観測点の比較結果を示す。図には、観測および計算H/Vスペクトルと各観測点における3次元地下構造モデルから切り出したS波速度構造を示す。

県東部の観測点、川崎(KNG001)、横須賀(KNG003)、鎌倉(KNG005)、藤沢(KNG007)では、観測H/Vは0.1Hz強に明瞭な1次ピークを有しており、基盤が深いことを示している。これらの観測点では理論H/Vの1次ピークも0.1~0.2Hzにあり、モデルの妥当性を示している。一方、県中部から西部にかけての観測点では、観測H/Vの1次ピークが明瞭ではなく、モデルの検証を行うことができなかった。この周辺の地下構造は堆積層が薄いとか、水平方向にも不均質なことから、観測記録中にレイリー波があまり卓越していないことが原因の1つではないかと考えられる。

図3-3-2-1 伊豆半島東方沖地震の震央と観測された点(防災科研HPによる)

図3-3-2-2-1 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG001)

図3-3-2-2-2 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG003)

図3-3-2-2-3 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG005)

図3-3-2-2-4 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG006)

図3-3-2-2-5 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG007)

図3-3-2-2-6 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG008)

図3-3-2-2-7 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG009)

図3-3-2-2-8 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG010)

図3-3-2-2-9 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG012)

図3-3-2-2-10 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG013)

図3-3-2-2-11 観測波形およびフーリエ振幅スペクトル(KNG014)

図3-3-2-3 H/Vスペクトル比較結果