(2)県中部(相模川沿い)での関係

県中部については、既往の探査結果をもとに作成したP波速度モデルとの比較を行った。比較に使用した微動アレイ探査の観測点は、山中・山田(2002)の中の、八王子、大島、淵野辺、座間、平塚、藤沢、大磯の7地点と今回実施した微動アレイ探査の6地点である。

@ 山中・山田(2002)の微動アレイ探査との比較

図3−2−3−3に、上記解析で得られた神奈川県全域のP波速度構造モデルから、各微動アレイ探査地点を通る南北断面を切り出し、微動探査によるS波速度構造と比較した結果を示す。同図中央の位置図は、P波速度4.8km/s層上面深度マップ上に微動アレイの観測点位置をプロットしている。山中・山田(2002)では、地震基盤相当層のS波速度を3km/s層と固定して解析を行っているが、S波速度3km/sに相当するP波速度として4.8km/sを想定すると、上記7点のほとんどの点で微動アレイ探査結果の方が浅めに推定されている。同位置図の4.8km/s層上面深度のコンター分布からわかるとおり、本地域は地質構造が急変する場所であるため、広域の探査結果から推定されたP波速度境界と点の情報である微動アレイ探査結果をそのまま比較することには若干の無理があるのかもしれない。

A今回実施した微動アレイ探査との比較

同様に、今回実施した微動アレイ探査6地点でのS波速度構造と同地点で切り出したP波速度構造との比較結果を図3−2−3−4に示す。中央の位置図は前図と同じである。

全体的には、上記結果同様、微動アレイ探査によるS波速度構造が対応するP波速度構造に比べ若干浅めに推定されている。

図3−2−3−3 県中央部でのP波速度構造と既往微動アレイ探査結果の比較

図3−2−3−4 県中部地域でのP波速度構造と今回の微動アレイ探査結果の比較