(2)速度層区分の検討

図3−2−2−2に既往文献によるP波速度の分布を示す。この図は観測されたP波速度を、東西及び南北方向に投影したものである。これより、本地域の速度層は次のように区分される。

速度層1  Vp = 2.1 km/s (1.7 〜 1.8 km/s , 1.9 〜 2.1 km/s )

速度層2  Vp = 3.1 km/s (2.7 〜 3.2 km/s )

速度層3  Vp = 3.5 km/s (なし)

速度層4  Vp = 4.3 km/s (なし)

速度層5  Vp = 4.8 km/s (4.7 〜 4.8 km/s )

速度層6  Vp = 5.5 km/s (5.4 〜 5.5 km/s )

括弧内は神奈川県(2001)によるP波速度区分

これらの速度のうち、5.5、4.8、3.1及び2.1km/sは関東平野で一般的に観測される速度である。これに対して、4.3及び3.5km/sは、県西部から中部地域(足柄平野から藤沢市)と相模湾付近にのみ分布している。神奈川県(2001)では、主に県東部を対象として地下構造が検討されているので、これらの速度層は設定されていない。本業務は、足柄平野や相模湾を含む県全域を対象としており、4.3及び3.5km/s層を新たに設定した。

図3−2−2−2 観測されたP波速度分布図