1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、多くの犠牲者が発生し、改めて大都市の直下に起きる地震の恐ろしさを認識させられました。この震災では、神戸市街地を中心として東西に延びる狭い範囲に震度7の地域が分布するという、いわゆる「震災の帯」が発生しました。この原因の一つとして、神戸市地域の地下構造の3次元形状が挙げられ、より深部の地下構造の実態解明が重要であることが指摘されました。
我が国の大都市の多くが平野や盆地などの堆積平野に位置しています。国においては、地震防災の観点から地下構造調査を進めていくことが急務であるとの認識のもとに、平成10年度より、選定地域の地方自治体に地震関係基礎調査交付金を交付して調査を実施しています。神奈川県では、平成10年度より横浜市、川崎市で、平成11年度からは県として調査に着手し、各種手法を用いて高い精度で3次元地下構造を推定しています。
本調査は、上記調査の一環として平成13年度に足柄平野周辺で実施された反射法(屈折法)地震探査データを主なデータとして足柄平野周辺の地下構造モデルを作成するとともに、既往の調査がやや不足していた相模平野周辺の県中部地域で微動アレイ探査を実施しました。また、それらの結果と既往の調査研究成果を総合的に解析し、地震動予測に必要な県全域の地下構造モデルを作成しました。
調査の実施にあたっては、地下構造に関する専門家6名からなる「神奈川県地下構造調査委員会」(委員長嶋悦三東京大学名誉教授)を設置し、調査計画、調査結果の評価等において、専門的、技術的指導および助言を受けました。
平成15年3月