(5)走時曲線での見掛け速度

A測線とB測線における屈折初動の走時曲線を図3−9(図3−9−1図3−9−2

に示した。それぞれの図には、走時曲線で認められる代表的な見かけ速度を示した。両測線ともに、2km/s台、3km/s台、4km/s程度の速度が認められ、測線の両端では、わずかに見かけ速度約5km/sが確認できる。このうち、基盤屈折波は距離7〜21kmの間で確認され、順測線および逆測線の見かけ速度は、約4〜5km/sであった。

A測線は、標高変化や地下構造の影響を受けて全体的に走時が直線上に乗らないため、走時曲線から明確な層区分が難しいが、TD−1の発破記録で、大磯丘陵における初動は約4km/sの屈折波と推定される。また、足柄平野に入ると走時が遅れてその見かけ速度が大きくなるのは、基盤が西に落ちたあと東傾斜していることによると推定される。なお、A測線西部の久野付近では、0.5km/sの表層速度が確認できるが、これは、周辺地質図から軽石層に対応する低速度層を表していると考えられる。

一方、B測線も、標高変化は少ないものの地下構造の影響をうけており、走時曲線から明確な層区分が難しい。しかし、TD−3の発破記録で、約4.0km/sと約4.8km/sの屈折波は明瞭である。一方、逆測線にあたるVP2399の夜間バイブロサイス記録では、それぞれ、約3.5〜5.0km/sと約5.0km/sと推定される。