9−4−1 調査地域における被害地震歴

この節では、今回得られた地下構造モデルから予測される地震動の時刻歴と、過去の地震記録との比較を行うことによって、地下構造モデルを検証する。

神奈川県における主な被害地震を表9−4−1に示す。この表に示した地震を検証に用いるには、以下のような問題点がある。

@ 予測時刻歴と比較しうる地震動記録がほとんど現存していない。関東地震においても同様である。

A 関東地震では木造家屋の被害分布が調べられているが、これは周期1秒以下に係わる浅部地下構造を反映しており、深部地下構造の妥当性の確認に用いるには適当ではない。

B 近地の巨大地震について地震動を定量的に評価する場合、巨視的断層モデルはもとより、断層面上のアスペリティ分布等の震源破壊過程をどのように想定するかによって地震動予測結果に著しく影響する(瀬尾, 1998; 工藤, 2001)。

以上の問題点があることから、強震記録が数多く得られている最近の地震を使用して検証を行った。