(3)東京湾(1998/08/29)

10秒間ごとの最大加速度をスナップ表示にして図9−2−10に示す。他の2地震とは異なり、横浜市ではほとんど最大加速度値が大きくなる地域が見られない。むしろ、横浜市の西側に最大加速度値の大きい地域が認められ、とくに寒川町での最大加速度値が最も大きい。この地域は、千葉県北東部の地震で若干最大加速度値が大きかった地域である。

新島・神津島近海および千葉県北東部の地震で、最も最大加速度値が大きくなる30秒間のスナップを図9−2−11に示す。また、この図には第7章でタイムターム法および重力異常データの解析から求めた基盤深度分布図も示した。これらの図を比較することによって、以下の特徴があることがわかる。

@ 横浜市南東部の基盤深度が3kmを超える地域で最も最大加速度値が大きい。

A @の最大加速度値が大きい地域から南西側に延びる基盤が谷状の形状を呈する地域において、若干最大加速度値が大きい。この現象は千葉県北東部の地震で顕著であり、東京湾の地震にも同様の傾向が認められる。

B 横浜市北西部で明らかとなった段差構造域で基盤深度が3kmを超える地域では、とくに最大加速度値が大きくなるような現象は見られない。

C 神奈川県の中部から西部にかけての地域では、最大加速度値はかなり小さい。

今回は、マグニチュード5.1〜6.3の地震の観測データを用いて、神奈川県内の振動分布を求めた。この結果、周期5s以上のやや長周期帯域の振動特性に関して、深部の地下構造を反映している可能性が認められた。