7−3 3次元基盤深度

今回は、タイムターム法と重力異常データの解析という2つの異なる方法により、神奈川県全域の基盤深度分布を得た。両者を比較するために、タイムターム法の解析領域とほぼ同一の領域を抜き出した重力基盤深度図を、タイムターム法による表層/基盤境界面深度分布図とともに図7−16に示す。また、2次元屈折法解析で検討したa〜g測線における深度分布を図7−17−1図7−17−2図7−17−3図7−17−4図7−17−5図7−17−6図7−17−7に示す。

 駒澤・長谷川(1988)によって求められた重力基盤は、先第三系基盤に相当し、長谷川(1988)の分類による第3層(3.4〜4.2km/s層)以深の層に対応している。ただし、今回の2次元屈折法解析等による解析結果では、長谷川(1988)の分類による第3層(3.4〜4.2km/s層)に該当する層は見られない。一方、タイムターム法から得られた基盤深度は、表6−2での第4層(4.7〜5.2km/s層)以深の層にほぼ相当している。このため、駒澤・長谷川(1988)が用いたコントロール・ポイントをそのまま使用して求めた重力基盤は、タイムターム法による基盤深度に比べて全体的に浅くなる。そこで、今回は表7−1に示したコントロール・ポイントを使用して重力基盤を求めた。その結果、図7−17−1図7−17−7に示したように、タイムターム法から求められた基盤深度と整合した重力基盤深度が得られた。

 ただし、両基盤深度を比較すると、神奈川県の東部(横浜市および川崎市)において、重力基盤深度はタイムターム法による表層/基盤境界面深度に比べて全体的に浅い傾向にある。このような違いがあるものの、2次元屈折法解析断面上において、両基盤深度の一致の程度がよいことから、タイムターム法による基盤深度の補完データとして重力基盤深度を用いて、神奈川県全域の基盤深度を求めた。その結果を図7−18に示す。