4−5 高密度強震計ネットワーク解析

横浜市では、地震被害状況の早期把握の重要性が検討され、強震計を市全域に張り巡らし地震時の揺れを数分以内に収集し被害程度を迅速に把握する目的で、150観測点から成る高密度強震計ネットワークシステムを構築しており、平成9年5月から本稼動している。ネットワークの観測点位置を、神奈川県の強震観測点(強震観測システム及び震度情報システム観測点)位置とともに図4−5−1に示す。

横浜市ではこのネットワークによる観測データを地下構造の解析に利用している。平成10〜12年度に強震計ネットワークで観測された比較的大きな(震度2〜3以上)28地震のP波・S波初動データを用いて3次元P波速度構造及びS波速度構造を求めている。解析に際しては、原走時から観測点直下(深度10km程度)までの震源距離を補正した走時差(走時遅れ)を3次元逆解析のデータとしている。また、初期モデルは、既往の屈折法地震探査や反射法地震探査などで得られた結果及び山田・山中(2000)による関東平野南部の広域モデルをベースにして作成している。また、横浜市で震度3を記録した神奈川県西部の地震(1999/05/22、M4.4)について、各観測点の地震の揺れ(加速度スペクトル)を周期帯域毎に見ることにより、地下深部構造との関係を議論している。

図4−5−2に逆解析より求められた結果図を示す。