2−5 地下構造モデルの検証

神奈川県内に設置されている強震計で観測された強震記録を用いて、本調査で提案した地下構造モデルを以下の方法により検証した。

@震源が深い地震を対象として、強震記録のS波主要動部についてスペクトル解析を行い、地下構造モデルから求められる理論スペクトルとの比較による1次元的な検証を行う。

A地震基盤が深い場合、やや長周期帯域における最大加速度分布が構造を反映することが予想されることから、やや長周期帯域における観測波の振動特性を調べ検証を行う。

Bやや長周期帯域の表面波が卓越する浅い地震を対象として、偏向解析、ランニング・スペクトル解析を行って波群を識別し、波動の型と伝播方向を求めることによって地下構造の影響を調べる。また、強震記録のアレー解析として周波数−波数スペクトル解析を行い、解析された表面波の位相速度から期待できる地下構造と本調査で求められた地下構造モデルの比較により検証を行う。

図2−3 3次元地下地下構造モデル作成の流れ

C過去の地震の震源モデルを用いて3次元地震動シミュレーションを実施し、計算によって求められた地震動の時刻歴と観測された強震記録との比較により、3次元地下構造モデルの検証を行う。

以上の検証の結果、強震観測データと計算によって求められた地震動時刻歴、スペクトル等との整合性は良好であり、本調査で求めた地下構造モデルがほぼ妥当なものであることが確認された。