11−1−2 県中部から西部地域

神奈川県全域の地下構造の把握を考えた場合、横浜市や川崎市を中心とした県東部から中部にかけては、各種の調査手法を適用して高密度の調査が実施されているため、高い精度で3次元的な地下構造を推定することが可能である。

一方、県中部から西部に至る地域については、本調査や既往調査の結果により、急激に基盤深度が浅くなるものと考えられるが、調査密度が低いために基盤形状等についての信頼性が高いとは言えない。

 当地域における地域特性としては、以下の点を挙げることができる。

A) 県東部と比較して基盤までの深度が浅く、とくに県西部の丹沢山地や箱根地域においては顕著である。

B) 堆積平野と山地の境界部があるため、堆積層と基盤層の境界形状によっては、堆積層表面波、焦点効果、共振といった堆積層特有の波動現象により地震動が増幅される可能性がある。

C) 神縄・国府津−松田断層帯、伊勢原断層、秦野断層等の活断層の存在が確認されている。

とくに、b)およびc)の地域特性を考慮すると、地震防災上県中部から西部にかけての3次元的な地下構造を把握することは非常に重要である。