海上保安庁による東京湾音波探査(加藤、1988)で確認された東京湾北部断層の西方への連続は、平成12年度浦安−船橋測線では確認されなかった。海上保安庁の東京湾三次元音波探査(岩淵ほか、1995)では、東京湾北部断層は、西部へ落差を減じていくこと、逆S字型に連続することなどから、落差が小さくなって浦安市舞浜の南沖への連続する可能性が残っている。東京湾北部断層の東方への延長については、平成14年度調査測線の市原市菊間付近(図58、CDP−2850付近)で確認された。海上保安庁東京湾三次元地震探査の結果、東京湾内での落差は調査海域の東端で約800mともっとも大きく、北西に向かうに従い小さくなり、西端では200m以下となる。平成14年度調査測線上での落差は、約250mであり、断層の変位量は東京湾中央部で最大となっていると考えられる。
市川市菊間での東京湾北部断層の変位は上総層群下部までであり、それ以降の地層には変位は見られない。また、東京湾北部断層の東京湾内(A−2測線)と市原市菊間(H14測線)での活動時期は、両断面から判断するとほぼ同時代と見なせる。三次元音波探査では、さらに詳細が検討され、上総層群上部まで活動していたとされている。
平成15年度調査測線の市原市佐是で確認された断層(図59、CDP−1500付近)により、保田層群相当層の分布域は区切られ、この断層は三浦層群相当層の下部から中部に変形を与えている。しかし、より上位の地層が変位することはなく、三浦層群相当層中部の堆積時まで活動していた可能性がある。この断層はほぼ養老川沿いに平成14年度調査測線(図58、CDP−2400付近)まで連続すると考えられるが、海上保安庁による東京湾の調査で確認されていないことから東京湾内には連続せず、また大都市圏地殻構造調査の房総測線でも確認できないことから、落差は大きいものの連続性のある断層ではないと考えられる。