速度構造解析は、観測位相速度が約0.14Hz〜5Hzと広範囲な周波数範囲で得られており、深部構造から極浅部構造までの情報を有していると考えられるため、地下構造が速度逆転層を含まない8層水平成層モデル(最下層を地震基盤と想定)と仮定して逆解析を実施した。
逆解析に用いる初期モデルは既存情報を参考に表2−4−6のように設定し、探索範囲はVs探索範囲をモデル中心に±30〜±50%、層厚探索範囲を層厚モデルの±50〜±80%と幅広い探索範囲とした。
得られた各地点のS波速度構構造を図2−4−14, 図2−4−15, 図2−4−16, 図2−4−17および表2−4−7に示した。各地点の概略的なS波速度構造は以下のような特徴が挙げられる。
・ 先新第三系基盤に当たる最下層について、候補解としてS波速度:2.8km/s〜3.1km/s、基盤上面深度:3440m〜4350mが得られた。これらは反射法から推定された基盤とほぼ整合性のある結果と考えられる。ただし、GOI地点では基盤深度がやや浅いものとなっている。
・ 得られたS波速度構造は、図に示すように概ね反射法から推定された地質境界深度と整合性の良いものとなっている。ただし、GOI地点では、三浦層群相当層と保田層群相当層の層厚が薄くなっている。